相続税率の実際の計算方法とは

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誰かが亡くなると、周囲の人間は悲しむだけではなく、様々な手続きに追われることになります。死亡届や葬儀、墓地の手配などに加え、亡くなった方が財産を残していた場合は、その処理も問題になってきます。分配の仕方はもちろんですが、その財産を相続をした場合に税金がかかってくるのです。

相続税の税率や、実際にいくらとられるものなのか、気になっている方も多いでしょう。その計算方法について解説していきます。

相続税の位置づけとは

計算方法について見ていく前に、相続税の基本を押さえておきましょう。そもそも、相続税とは一体どういう位置づけの税金なのでしょうか。基本的には税金は、経済活動を行って所得を得た場合に必ず課せられるものです。

相続の場合は何もせずとも、親や兄弟が亡くなった場合にその財産をもらえるわけですから、いわゆる不労所得になります。この不労所得に対して、国が税金をかけてきているわけです。また相続税の税率がかなり高いということについても、相応の理由があります。

もし相続税がかからない、あるいは税率がとても安いということになると、富の集中が起こってしまう恐れがあるでしょう。豊かな家に生まれた人は、その財産を丸ごと引き継げば、働いたりしなくてもずっと裕福なままです。

そのため貧富の格差が固定化されてしまう恐れがあります。これを防ぐため、親族から多額の財産をそのまま受け取る、ということはできない仕組みになっているのです。

相続税率の一覧

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まず、相続税の基本となる税率について見ていきましょう。相続税に関しては累進課税であり、相続した財産が大きいほど税率が高くなるという仕組みになるのです。相続で取得した額が1,000万円以下の場合の税率は10%、3,000万円以下の場合は15%、5,000万円以下の場合は20%、1億円以下の場合は30%となっています。

これ以降は2億円以下の場合で40%、3億円以下で45%、そして6億円以下で50%の税率となるのです。最高は6億円を超える場合で、税率は55%となります。これだけを聞くと非常に高く感じますが、実際には様々な控除があるため、支払うべき相続税は意外に少ないケースがほとんどです。

控除がある理由とは

先述したように、相続税がなければ富の集中が起こる可能性があります。代々一部の人間だけが富を独占するということになれば、経済的にも社会的にも健全とは言えません。そのため、相続が発生したときにある程度財産は回収され、国庫に戻されることになります。

しかし全てのケースにおいて相続税がかかることも問題です。例えばまだ子供が幼いうちに親が亡くなってしまった場合、相続税でその資産を取り上げてしまえば、残った子供が生活に困窮することになります。またどんなに頑張って働いて財産を蓄えても、結局子供に残すことができないとなれば、勤労意欲にも悪影響が出て、経済の停滞を招くでしょう。

これらを防ぐため、相続税にはさまざまな控除が用意されています。

実際の税額計算とは

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ではここからは、具体的な数字をあげて実際にかかってくる相続税の額を計算してみましょう。まず、両親と子供が2人いる家庭で父親が亡くなったケースを考えてみます。父親が残した財産の総額が、仮に1億円だったとしましょう。

しかしこの1億円にまるまる相続税がかかってくるわけではありません。まず、どんなケースでも適用される控除として、基礎控除があります。この控除額は3,000万円であり、これを1億円から差し引けるのです。また相続人の数×600万円も控除額として適用されますので、この場合は妻1人と子供2人、合計3人が相続人ですから、3×600万円で1,800万円がさらに控除されます。

このため控除額は全体で4,800万円となり、実際の課税対象額は1億円からこれを引いた5,200万円という数字が出てくるわけです。

相続税は相続人それぞれが支払うものですので、まずこの5,200万円を法定相続分と同じ割合で考えて相続人に分配します。すると妻が半分の2,600万円、子供達は1/4ずつですから1,300万円ずつを相続分として受け取ったと考えましょう。

この金額に相続税が課税されるわけです。すると妻の場合は2,600万円ですから、先ほどの税率を使うと3,000万円以下で15%となり、2,600万円の15%だと計算したくなります。しかし厄介なことに、相続税率というのは階段状になっており、正確に言うと「1,000万円までは10%、そこを越えて3,000万円以下の分については15%」という課税の仕方になるのです。

そのため妻が受け取る課税対象相続分のうち1,000万円に関しては10%、つまり100万円が課税されます。そして1,000万円を超えた分の残り1,600万円については15%、つまり240万円がかかってくる計算です。

この合計額340万円が妻が支払うべき相続税ということになるでしょう。

同様に子供1人ずつについては、取得額が1,300万円ですから1,000万円に対しては10%、1,000万を超えた300万円については15%がかかってきますので、合計で145万円をそれぞれ支払うことになります。参考-ソレイユ総合ナビ ... 相続相談

配偶者控除やマイホームの特例

さきほどの例で言えば、結局父親(夫)が亡くなったことで妻は5,000万円を受け取り、340万円を相続税として支払う計算です。ところが、配偶者控除というものがあるので実際にはさらにこれより税金は少なくなります。

元々夫婦というのは、お互いに共通の財産を作るために働いているものです。そのため片方が亡くなった場合に配偶者に残された財産について、あまり高い相続税をとるということはできません。また夫婦は基本的に年齢が近いものですから、片方が亡くなればもう片方もそれほど長くは生きていないというケースが多いのです。

夫婦間の相続で高い相続税をとってしまうと、年齢の近い夫婦が相次いで亡くなった場合、短期間に2度相続税を取ることになります。そういったことを避ける意味でも、配偶者に対しての相続税というのはかなり優遇措置が取られているのです。

このため配偶者控除というものがあり、なんと1億6,000万円まで控除が受けられます。先ほどの例で言えば、妻の相続額とも十分控除で相殺されますので、実際の相続税額は0円となるのです。また、亡くなった夫の名義の住居などが遺産に含まれている場合、マイホームというのは生活に必要なものだとみなされますので、配偶者控除とは別に特例的にこちらにも控除がかかってきます。

基礎控除、配偶者控除、マイホーム特例などがあるため、よほどの資産家でないと実際には相続税をとられるケースは少ないことがわかるでしょう。とはいえ、資産が多くて控除を超えてしまえば多額の税金を支払う必要があるのは事実です。

相続税を減らしたい場合は、生前に対策をとっておくと有利ですので、相続税を専門に扱っている税理士や弁護士に相談してみましょう。